アメリカ

USAとは異なる。

それは、ユナイテッドステイツオブアメリカではなくて、アメリカなのだ。

若い時に行ったからか、今でもやはり深い繋がりのようなものを感じてしまう。

それほどあの時の体験が強烈だったのだろう。

自然が美しかった。

空がどこまでも青くて、高かった。

二年にわたり、夏の間に訪れたのだが、その両方の記憶が一つになっているのだろう。

とにかくとにかく、私がイメージするアメリカ、その原点はそこにある。

自然が美しいのだ。

半分はほとんどカナダよりだったが。

音楽も、食事も、文学も、その後の暮らしもいろいろあったが、あの20歳になる前に訪れた空の青さがどうしても忘れられない。

死ぬまで忘れない気がする。

そしてその記憶は、変化しても、軸はぶれないと思う。

写真はほとんど存在していない。

もう、なくなってしまったが。

何百枚か写真を撮っていた。

最終日にカメラの調子が悪くなってしまったことも覚えている。

写真が、そのデータが失われてしまった理由は、本当に些細なことだった。

相手もに悪い意図はなかっただろうが、失ったものはあまりにも大きかった。

人生において最も重要なものが、あっけもなくなくなってしまった。

あの写真は、確実に重要だった。

美しさの塊だった。

体験という言葉が意味するところの全てが詰まっていた。

自分というものを生み出したあらゆる要素がそこには詰まっていた。

失われてしまったからそう思っているというわけではない。

確かに、写真は失われてしまったがその時見ていた景色のことをしっかりと覚えている。

自分の足取りを、驚いたことを、息を飲んだことを。

空気の暖かさを、果てしなく続く青と緑を。

飲み込まれそうになったことを。

地球というか、宇宙を見たような気がしたことを。

こんな場所が存在していたのかということに驚かされていた。

命というものに触れた気がした。

あと少しでそれを失いそうな場面も何度かあった。

だからかもしれないが、自然というものを体でいっぱいいっぱいに感じた。

そこには雪もあったし、砂漠のような場所もあった。

夜空は青くて黒くて、人工衛星も見えた。

道は果てしなk長かったし、ステーキは石ころのように硬かった。

道の脇に咲いていた黄色い花。

雲から顔を出した山。

池に映る雪山。

信じられないほど青かった火山湖。

人生が変わる瞬間は止められない。

そして、いつまでもそこに引き戻されることになる。

信じられない青さを見たのなら、いつか、信じられない赤さを見ることになるだろう。

 

 

2017.3.15

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