冷たい息

もう春が近づいてきた。

昨日の夕方はとても空気が暖かかった。

春が近づいてきているのがよくわかった。

すべての動物が、それをはっきりと認識できるような風だった。

雨交じりにもかかわらず、むっとした空気。

冬の空気、透き通って透明で、胸の奥にささってくるものとは全く異なる。

冬のそれは、キラキラ輝いていて軽いイメージだが、昨日の風は全く違った。

下から吹いてきて、上に上がっていく風。

とてもとても重くて、体に巻き付いてくるよう。

言葉を漏らさずにはいられない風だった。

春が来た、と言わざるをえない風。

 

日々、日の出が早くなっていく。

太陽の明るさの種類も変わってきたように感じる。

そのまぶしさ、力強さ。

冬は限られた時間の中で太陽の光を味わわなければならなかった。

その暖かさが嬉しくもあったがあまりにも貴重なので惜しくてしょうがないという気持ちが強かった。

この太陽の暖かさを逃さないように、しっかりと味わわなければ。

自然とそんな気持ちになるものだった。

 

今では、目がさめる頃には世界が明るくなっている。

これほどかというほど、光が満ち溢れていて、太陽は眩しい。

赤と黄色の色が強い。

カーテンはその光を完全に遮ることはできない。

それでいて、部屋がすぐに温まるわけではないので、部屋の中はまだ冬のようだ。

だが、確実に春が訪れていることはこの光が証明している。

夏に向かっていくぞと強く宣言しているような日の光。

部屋の元気もどこか力ないように感じてしまう。

 

けさ、自分の吐く息がとても冷たかった。

二回目の目覚め。

横になったまんまで。

普段息をしていることに細かく注目することはない。

前、いつそんなことを考えたか思い出すことができない。

マスクをして、外して、呼吸が楽になることを感じたことがあるが、せめてその程度だ。

けさ、自分の吐く息がとても冷たかった。

とてもとても冷たくて、何度か息を吐いて確認をしてしまった。

何を確認したわけでもないのだが、冷たい息を味わってみた。

恐ろしくなるくらい冷たかった。

それはまだまだ冬の空気だった。

空が明るくなろうとしているのがわかる。

そこは冬と異なり、もう春が来ていることを告げている。

しかし、この部屋の中はまだ冬なのだ。

 

こんなに冷たい自分の息を味わった記憶がない。

本当に冷たかった。

自分の、生き物がはき出すような息だとは思えず、何度かそれを味わっていた。

また、こんな冷たい息を味わう日が来るのだろうか。

 

2017.2.18

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