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何故

何故、こんなに美しい世界を見逃してしまうのか。

目の前にある素敵な景色を、味わうことができないのだろうか。

人から見せられているわけではない。

展示会などが対象であったら、見せるほうの技術が足りないのかもしれない。

写真ならアングルが悪い、色合いが良くない、魅力的な構成ではない。

絵にしても意味がわからない、色の組み合わせが悪いなど。

そういう、人が見せるというメッセージのもと作成したものではなくて。

自然を見ている時。

海が目の前にある、風が吹いている。

空は青くて高い。

砂漠というものが地球にはある。

夜は満天の星空。

星を見ているだけで恋をしてもいいような、恋に落ちるような気分になったことがあるだろうか。

夜が更けて、海との境界線がわからなくなってくる。

どこまでが、空に、宇宙に浮かんでいる星で、どこからが海に反射しているものだろうか。

足元は暗く、目ではっきり見えるものはどんどん減っていく。

それだけ星の輝きが増して、それしか目に入らなくなる。

 

橋がかかっていて、遠くに光に照らされた建物が見える。

その建物は大きくて威厳がありとても神聖だ。

 

古くからある町にも橋がかかっていた。

そこから見た夕日はとても美しかったし、そこから二人の恋人たちがそれを眺めていた。

身を寄せ合い、ある一つの風景を彩るためにいるように、長い間じっとくっついていた。

あの青い空。

濁った茶色の河の脇には真っ白な建物。

少し汚れてススがかかったような色の橋。

空はどこまでも水色で、あまりにも白すぎる雲がかかっている。

空はとても低く、太陽もこれまでにっ見たことないくらい低い。

人々はどこまでものどかで、幸せそう。

空気が冷たいのだが、その冷たささえも風景の一部のような気がする。

 

誰もが、モデルのように見えた。

観光客も地元の人、その風景をどこまでも味わっている。

歩きながら、カフェのテラス席に座りながら。

 

電線がたくさんある小野町を、私は好きではなかった。

空をよく見るために移動しないといけないからだ。

 

今まで、本当に様々な景色を見てきた。

私は見逃さなかった。

だが、人は何故見逃してしまうのだろうか。

目の前にある、信じられないほど素敵な風景を。

その、皆が見逃しているものを私が見せてあげる必要があるのかもしれない。

語れる物語の数だけ、見せられる景色がある。

信じられないかもしれないが、風景は鮮明に私の中に記憶されている。

それらはもう、私の中だけで収まることを求めていない。

もう、これ以上景色を見逃してはいけない。

 

 

2017.2.13

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